【実録大家24時:その②】破産までのカウントダウン

数年前のある日、知り合いを通じて紹介されたDさんと面談を行いました。
事前に聞いていた内容としては半年前に収益物件を購入し今後さらに購入していきたいのでアドバイスが欲しいとの事でした。

Gさん「●●さんから、ご紹介頂きましたDです。今後、収益物件を買っていく為のアドバイスが欲しくて紹介して頂きまして。」

私「私の分かる範囲で宜しければ何でもお話させて頂きますよ。早速ですがGさんの現状を把握しない事にはアドバイスも何もできませんので少しご質問させて頂いても宜しいですか?」

Gさん「はい。大丈夫です。」

こんな流れで面談は始まり現状を把握する為に質問させて頂いて分かった内容は下記の通り

家族 構成:本人(45歳)、奥さん、長女、次女
職   業:公務員
年   収:700万
金融 資産:100万円
所有不動産: 自宅(返済:月々12万円)
1棟マンションを所有(稼働率40%)
(借り入れ:1億3000万円 返済:月々60万)

 

私「・・・」

Gさん「どうですか?どういう風に物件を購入していったらいいですかねぇ?」」

私「あのー、1つ疑問があるんですけど稼働率40%で月々60万円の返済ってどうしているのですか?」

Gさん「空室は多いですけど業者さんが家賃保証をしてくれているので大丈夫です。ただ手残りが数万円なので保有物件を増やして収入を増やしたいと思いまして。」

私「その家賃保証って、いつまで保証してくれるんですか?」

Gさん「購入後1年間という約束です。もともと空室が多かったですが家賃保証がある1年間で満室にすればいいと言われて購入したのですが中々入居者が決まらなくて・・・」

信じられない話ですがGさんは現状を全く理解できていないようでした。

私「Gさん大変申し上げにくいのですがハッキリと申し上げます。Gさんは今後、物件を購入するどころか、下手すれば破産しますよ。」

Gさん「えっ!どうしてですか?」

私「いいですか。まず半年間も全く入居者が決まらなかった物件が残り半年で満室になるとは考えにくいです。今は4月で繁忙期の1~3月に全く決まっていないんですよ。そうなった場合、家賃保証が切れた現状の家賃収入30万に対し返済が60万円でマイナス30万円です。そこに住宅ローンが12万円で計42万円を銀行へ返済しないといけません。さらに生活費などを考えると生活やっていけますか?このままだと半年後にはその状況になりますよ。」

ここで初めて現状を理解できたようで顔が青ざめていくGさん(というか普通に考えれば分かると思うのですが・・・)

Gさん「・・・」

私「申し訳ないのですが私の力ではどうする事も出来ないです。」

Gさん「どうしたらいいですか?この物件売っていただく事はできませんか?」

私「稼働率も悪いですし購入金額の50~70%でやっと売れるかなと言ったところだと思いますので売却の選択肢はとれないです。売却するにしても諸費用など考えると購入金額以上で売却しないとなりませんし。」

Gさん「半年でそんなに値段が下がるものですか?」

私「エリアや物件の内容からしてもGさんの購入金額はかなり高めだと思います。」

Gさん「新しく利回りの高い物件を買って穴埋めできないですか?」

私「この問題を置いといても、そもそもGさんが新たに物件を買うのは難しいと思いますよ。穴埋めできる規模の物件を買おうと思ったら自己資金100万円では購入にかかる諸費用すら賄えないですし。」

Gさん「・・・」

私「Gさん今持っている物件も正攻法で購入されていないでしょ?」

Gさん「・・・」

私「まぁ反応で分かりますし、これ以上は聞かないですけど、ただ金利交渉やリスケで何とかなるレベルではないので私の持てる知恵では自己破産するしかないのかと思いますので、弁護士さんに一度相談した方がいいのではないかと思います。」

Gさん「自己破産はできないです。妻は専業主婦ですし今から仕事を探すのは年齢的にも難しいですし。」

私「自己破産しても今の職を失うわけじゃないですよ。ご自宅はGさん名義であれば手放す形になると思いますが、たしか最低限の現金は手元に残せるはずですし、全てを失うわけではないはずですよ。まぁ専門家ではないのでハッキリとは言えないので、やはり弁護士に相談するのが一番だと思います。」

Gさん「自宅もですか・・・」

私「そこは専門家に相談した方が良いです。私が知らないだけで、いい方法が見つかるかもしれませんし」

1分くらい沈黙が続き

Gさん「・・・分かりました。今日はありがとうございました。」

私「いえいえ。お力になれず申し訳ございませんでした。」

と、こんな感じで面談を終えたのですがGさんの青ざめていく姿を見ていると心苦しかったです。

Gさんだけでなく当時は本来なら収益物件を購入できない人も書類偽造などを行い銀行を騙し、購入していた方がかなりいました。

また上記の様な方たちの中には購入できるという事に気持ちが大きくなりロクに収支計算もせず、収支と返済のバランスが合わないような金額で物件を購入されていた方も多かったです。

今、過去を思い出しながらブログを書いていて、改めて大家業とは軽い気持ちで足を踏み入れるものではないと思う今日この頃でした。

本日はこの辺で!

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